実際の作成作業
ここでは、就業規則を作るための手順や進めるときの注意事項について解説します。
- 実際の作業の流れ
- 実際の作業 その1 ~ スケジュールの作成
- 実際の作業 その2 ~ メンバーの選定
- 実際の作業 その3 ~ リストアップ
- 実際の作業 その4 ~ 空欄埋め
- 実際の作業 その5 ~ 条文化
- 実際の作業 その6 ~ 別規程作成
- 実際の作業 その7 ~ 法令とのチェック
- 実際の作業 その8 ~ 社長のチェック
- 実際の作業 その9 ~ 社員の意見聴取
- 実際の作業 その10 ~ 届出と周知
1. 実際の作業の流れ
実際に就業規則を作るためには、次の流れで作業を進めます。
- スケジュールの作成
- メンバーの選定
- 現時点における労働条件や現場の規律をリストアップ
- リストで空欄になっている部分を検討
- できるだけわかりやすい表現で条文化
- 条文が長くなる事項については別規程を作成
- 法令とのチェック
- 社長や役員のチェック
- 社員の意見聴取
- 完成後の届出と周知
各項目の詳しい説明は、以下をご覧下さい。
2. 実際の作業 その1 ~ スケジュールの作成
実際の作成作業に入る前にまずしなければならないのが、スケジュールを立てる作業です。就業規則を作る作業はある程度の期間を要しますので、スケジュールを立てておくことは非常に重要です。スケジュールを立てて段取り良く進めるべきです。
例えば、
- リストアップ 3週
- チェック 2週
- 条文化 4週
- 別規程作成 2週
- 法令チェック 2週
- 社長のチェック 1週
- 社員の意見聴取 1週
- 届出 1週
- 周知 1週
合計 17週=約4か月
あまりスケジュールを詰め過ぎないように必要充分な期間を定めておき、進捗管理することが必要です。
3. 実際の作業 その2 ~ メンバーの選定
就業規則を作成するには、社長だけ、担当者だけが一生懸命考えてもうまくいかない場合があります。
そこで、できれば各部署から1名ずつ選定して、就業規則作成プロジェクト(就業規則作成委員会)などを立ち上げた方がよいでしょう。
とくに、就業規則をはじめて作成する場合は、その構成員のほとんどが、素人です。ひとりにすべてを任せてしまうと、あまりにもその担当者だけに負担がかかり過ぎるとも限りませんので、数人で分担するとよいでしょう。
また、外部の専門家として、社会保険労務士などをメンバーに加えることをお勧めします。
4. 実際の作業 その3 ~ リストアップ
それでは、実際の作業を説明していきましょう。
まずは、現時点における労働条件や現場の規律をリストアップします。ただやみくもにリストアップしても時間がかかるだけでムダですから、
ぜひ知っておきたいことの「3. 必ず入れなければならない事項がある」にある「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」についてリストアップします。
具体的には次の29項目です。
- 始業、終業の時刻
- 休憩時間
- 休日
- 休暇(慶弔休暇などの特別休暇も)
- 就業時転換(適用している会社のみ)
- 賃金の決定方法
- 賃金の計算方法(賃金の形態も含めて)
- 賃金の支払いの方法
- 賃金の締切日と支払日
- 昇給(どんな場合に昇給するのか)
- 退職(どんな場合に退職するのか、また解雇になるのか)
- 退職金が支給される労働者の範囲
- 退職金の決定方法や計算方法
- 退職金の支払いの方法
- 退職金の支払日
- ボーナスなどの臨時に支払われる賃金の種類
- 臨時の賃金の決定方法や計算の方法
- 臨時の賃金の支払い方法
- 臨時の賃金の支払日
- 最低賃金額に関すること
- 労働者に負担させるべき食事代や作業服などのこと
- 安全に関すること
- 衛生に関すること
- 職業訓練に関すること
- 災害補償のこと
- 業務外の傷病扶助(私傷病で勤務できないときの援助等)のこと(制度がある会社のみ)
- 表彰の種類と程度のこと
- 制裁(懲戒解雇の項目については特に具体的に)の種類と程度のこと
- 前項以外に全ての労働者に関する定めがある場合にはそのこと(会社の規律に関すること)
以上、リストアップできましたか? 全て埋まっていなくても結構です。次にすすみましょう。
5. 実際の作業 その4 ~ 空欄埋め
前項での29項目全部埋まっていない場合は、1~11までを確実に埋めて下さい。1~11までは、前述した絶対的必要記載事項にあたります。16~29は、相対的必要記載事項に当たりますので必ずうめる必要はありません。しかし、会社にルールがある場合には、必ず埋めて下さい。
どうして先に絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項をについて述べたかというと、ここで必要になってくるからです。
6. 実際の作業 その5 ~ 条文化
条文化するときの注意点は、まず第一に分かりやすく。第二に明確に。
「1. 読みやすく、会社に合ったものを!」にも書きましたが、就業規則はあくまで社員の行動指針となるためのものですから、社員が読んで理解できる内容にする必要があります。そのためには社員が読みやすい文章で作成しなければなりません。無理をして法律用語や専門用語を使用することもありません。その会社でしか使用していない言葉を使用しても良いのです。
どう書いていいか分からないという時には、このあとに出てくる簡単にできる就業規則の作り方(事例編)を参考にしてください。もちろん、そのまま写すのでは意味がありません。自分の言葉で書いて下さい。下記に一般的な構成を示しておきますので、参考にして下さい。
- 第1章 総 則
- 第2章 人 事
- 第1節 採 用
- 第2節 異 動
- 第3節 退職・解雇
- 第3章 勤 務
- 第1節 労働時間、休憩及び休日
- 第2節 休暇等
- 第3節 休職・復職
- 第4章 服務規律
- 第1節 服務規律
- 第2節 出退社
- 第5章 安全及び衛生
- 第6章 賃 金
- 第7章 表彰・制裁
- 第1節 表 彰
- 第2節 制 裁
- 第8章 雑 則
7. 実際の作業 その6 ~ 別規程作成
条文が長くなるようでしたら、別規程を作成しましょう。長くてもかまわないという方は1つでもかまいません。
次にあげるものは別規程とすることが多いようです。
- パートタイマー就業規則
- 嘱託社員就業規則
- 賃金規程
- 退職金規程
- 出張旅費規程
- 育児休業規程
- 介護休業規程
8. 実際の作業 その7 ~ 法令とのチェック
ぜひ知っておきたいこと 「2. 労働法違反は、無効!」で書いた通り、法令に違反する就業規則は無効になりますので、法律的なチェックを行って下さい。労働法は改正が多いので、注意が必要です。
9. 実際の作業 その8 ~ 社長のチェック
完成したら、まず上司に見てもらいましょう。もちろん小さな会社の場合は、直接社長や役員に見てもらってもかまいません。自分以外の人にチェックしてもらうことが大切です。最後は社長の意志が伝わる就業規則でないといけませんので、社長に見てもらいましょう。
10. 実際の作業 その9 ~ 社員の意見聴取
「はじめに」にも書きましたが、就業規則を作成したら、社員の意見を聞かなければなりません。事業場の過半数の労働者(正社員やパートタイマーなど全て含みます)で組織される労働組合がある場合は労働組合、もしない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。
この労働者の過半数を代表する者を選出する場合にも法令に決まりがあります。この代表者は、管理監督者ではないこと、また、民主的な投票や挙手などの方法で選ばれた者となっています。
意見書を作成して、代表者に意見を書き込んでもらいます。このときには必ず代表者の記名捺印を求めます。この意見の内容は、必ずしも同意でなくても問題ありません。あくまで意見を聞けば良いことになっています。極端な話、反対意見でもかまいません。
11. 実際の作業 その10 ~ 届出と周知
就業規則の届出ですが、就業規則本体、すべての別規則、意見書をそろえて届出します。変更したときも代表者の意見書を添付して届出が必要です。
書類が全てそろったら、労働基準監督署に行きます。労働基準監督署では法令に違反するところはないか? チェックが行われる場合があります。私が住んでいる宮崎労働基準監督署では丹念にチェックされます。
もしチェックを受けて法令違反がある場合は、修正するように指導されます。その時には全ての法令違反をチェックしてもらい、出直しましょう。もしOKならば、労働基準監督署の受領印がもらえます。このときのために書類は2部用意しておきましょう。1部は労働基準監督署で保管されます。残りの一部に受領印をもらって控えとします。この控えは大切に保管して下さい。労働基準監督署の立入検査が入った時に就業規則を見せるように言われることがあります。そのときのためです。万が一、労働争議や裁判沙汰になったときにもこの就業規則がものをいいます。
届出が終わったら、つぎは社員に周知させなければなりません。これも法令で決まっていて、見やすい場所に掲示したり、備え付けたり、そのままコピーを配布したり、コンピュータでいつでも閲覧できる状態にしておかなければなりません。
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